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2008年7月

絶望の森林浴

森林浴という言葉は1980年代後半のリゾートブームの頃からよく使われるが、人々の生活習慣は勿論、行動目的とは無縁であることを知るために、少し旧い書物の引用であるが、[北村昌美|1995「森林と日本人」]の中で最も注目した個所を紹介する。―――――――――――――――――――――――――――
実際に林内を歩いてみて、散歩の目的で歩く人に出会うことは、日本ではきわめてまれといってよい。たとえば散歩のために設けられた「県民の森」などの遊歩道でさえ、そこを歩く人は来訪者の中でもごく少数だという調査例がある。私の研究室が1985年の夏のある日、山形の「県民の森」で行った調査では、中央広場を利用した人々のうち遊歩道を歩いたのは、わずか5%という結果であった。
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この調査結果は実感できるが、あくまで整備された施設の中での事例である。自分のように未整備というか手付かずの大自然の中でブナ林散策をする者にとっては、同じ目的の入山者に会う確率は更に低く、殆ど絶望的である。

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私のブナ林ベスト10

私の踏破したブナ林ベスト10を掲げます。西日本に偏っていますが、選考の基準は下記の要素を総合勘案しました。□ブナ純林の規模、密度□静寂さと原始性の保持□幹の高さ、通直性と太さ
なお順位は点数に関係なく、単なるJapan 踏破年月順です。

1.ブナオ峠周辺(富山県南栃市)1998年7月
2.大白川キャンプ場周辺(岐阜県白川村)1998年7月
3.姥ガ岳山麓(福井県大野市)1998年7月
4.奥裾花自然園(長野県鬼無里村)2002年5月
5.カヤノ平高原(長野県木島平村)2002年10月
6.関田峠周辺(長野新潟県境)2004年10月
7.蓮華温泉周辺(新潟県糸魚川市)2004年10月
8.大山登山道(鳥取県大山町)2005年9月
9.白馬登山道(長野県白馬村)2005年10月
10.位山峠遊歩道(岐阜県萩原町)2007年6月

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ブナ林の魅力

Photo なぜブナ林か?それは先ず美林だから。日本海型のブナ林の植生は多様であり、ブナの純林といっても高木層だけの話で、(亜高木も含む)中低木層と林床には様々なフロラが構成されている。だから美林といっても、杉や松のように整然とした単一樹木の森林ではなく、原生的な植生(日本海型ブナ林の特徴でもある)が織り成す美林である。これによってブナ林に踏み込むと体が癒される。(写真は岐阜県大白川キャンプ場|2001年10月)

次に希少価値だから。杉や松のように何処にでもあれば、遠方へわざわざ探訪することはない。「遠くて高い」ブナ林の占有面積は、国土の何%も有しない。せいぜい5%程度か、もっと少ないかも知れない。

第三に日本列島の先住民を育んだ、原始の森であること。それを知ることによって、ブナ林に踏み込むと心が癒される。私は外見的には渡来系の形質が優先しているが、潜在的には先住民の血は受け継いでいるのだ。そのことをブナ林は教えてくれる。

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