絶望の森林浴
森林浴という言葉は1980年代後半のリゾートブームの頃からよく使われるが、人々の生活習慣は勿論、行動目的とは無縁であることを知るために、少し旧い書物の引用であるが、[北村昌美|1995「森林と日本人」]の中で最も注目した個所を紹介する。―――――――――――――――――――――――――――
実際に林内を歩いてみて、散歩の目的で歩く人に出会うことは、日本ではきわめてまれといってよい。たとえば散歩のために設けられた「県民の森」などの遊歩道でさえ、そこを歩く人は来訪者の中でもごく少数だという調査例がある。私の研究室が1985年の夏のある日、山形の「県民の森」で行った調査では、中央広場を利用した人々のうち遊歩道を歩いたのは、わずか5%という結果であった。
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この調査結果は実感できるが、あくまで整備された施設の中での事例である。自分のように未整備というか手付かずの大自然の中でブナ林散策をする者にとっては、同じ目的の入山者に会う確率は更に低く、殆ど絶望的である。
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